夏に要注意!「痛みの王様」尿路結石症とは?
こんにちは。今回は、暑い季節に特に注意が必要な「尿路結石症」についてご紹介します。
この病気、別名「痛みの王様(King of Pain)」とも呼ばれるほど、発作時には激しい痛みを伴うことがあります。夏場は汗を多くかくことで尿が濃くなり、尿路結石の発症が増える季節です。
◆ 尿路結石ってどんな病気?
尿路結石とは、尿の通り道(腎臓〜尿道)にできる石(結石)のこと。石ができる場所によって、「腎結石」「尿管結石」「膀胱結石」などと呼ばれます。
多くの結石は腎臓で作られますが、腎臓にあるうちは無症状なことも。これが尿管に移動すると尿の流れが止まり、わき腹や背中に突然の激痛が走ることがあります。そのほかにも、排尿時の痛み・下腹部の違和感・血尿・吐き気などの症状が出ることもあります。まれに細菌感染が重症化し、敗血症に進行することもあるため注意が必要です。
<どんな人がなりやすい?>
- 日本人男性の7人に1人、女性の15人に1人が一生のうちに経験すると言われています。
- 男性では20〜50代の働き盛り、女性では閉経後の50〜70代に多い傾向があります。
- 糖尿病・高血圧・高尿酸血症・脂質異常症など生活習慣病との関連も強く、肥満の方では特に注意が必要です。
<結石の主な原因と食生活のポイント>
尿路結石の約90%は「シュウ酸カルシウム結石」。ホウレン草、紅茶、コーヒー、コーラなどに含まれるシュウ酸と、体内のカルシウムが結合して石を作ります。
◆ 予防のカギは2つ!
✅ 水分をしっかりとること(1日2リットル以上)
汗をかきやすい夏場は特に、こまめな水分補給が大切です。飲み物の種類にこだわるより、「量」が重要です。ワインの効果が示された報告もありますが、基本は水や麦茶でOK!
✅ カルシウムをきちんととること
意外かもしれませんが、カルシウムを控えると結石ができやすくなります。腸内でカルシウムとシュウ酸が結合し便に排泄されるため、カルシウム不足だと逆にシュウ酸が吸収され、尿中で結石を作りやすくなるのです。牛乳・ヨーグルト・小魚などがおすすめ。
他にも気をつけたいポイント
- 動物性たんぱく質(肉・卵など)の過剰摂取 → 尿酸が増え、結石リスクが上がります。
- 塩分の多い食事 → 尿中カルシウム濃度が上昇し、石ができやすくなります。
- ホウレン草・チョコレート・ナッツ・紅茶・豆類など、シュウ酸の多い食品も摂りすぎに注意。
一方で、青魚に含まれる**EPA(エイコサペンタエン酸)**は、尿中のカルシウムやシュウ酸を減らす働きがあり、尿路結石の予防に良いとされています。
◆ 検査と治療について
<検査方法>
- 超音波検査(エコー):腎結石や膀胱結石の診断に有効。
- 腹部CT検査:尿管結石の位置や大きさ、腎臓周囲の炎症まで正確に把握できます。
<治療方法>
- 5mm以下の小さな結石は約7割が自然に排出されるため、薬物療法や経過観察が基本です。
- 10mm以上や痛みが強い場合は、
→ 結石を外から砕く「体外衝撃波結石破砕術(ESWL)」
→ 内視鏡で砕く「経尿道的尿管結石破砕術(TUL)」
などの治療が検討されます。
◆ 再発を防ぐために
尿路結石は治療後も50%以上が再発するといわれていますが、水分と食生活を見直すことで、再発率を10%以下にまで下げられることも。夏場はとくに、水分を意識的にとる習慣をつけて、尿路結石から身体を守りましょう!