【健康診断でわかる?】腎臓の働きはこうしてチェックします!
皆さん、健康診断の結果を見たときに「腎機能」という項目をご覧になったことはありませんか?
腎臓は、体の中の老廃物をろ過し、尿として排出してくれる大切な臓器です。では、その腎臓がどれくらい働いているのか、どうやって調べるのでしょうか?
今回は、腎臓の評価方法について、簡単にご紹介します。
■ 腎臓の評価には、主に2つの検査があります
(1)血液検査(クレアチニン)
(2)尿検査(尿たんぱく)
この2つの結果から、腎臓がどれくらい機能しているのかを判断することができます。
■ クレアチニンとは?
「クレアチニン」というのは、筋肉の代謝で作られる物質で、通常は腎臓から尿に排泄されます。
腎臓の働きが落ちてくると、クレアチニンが体の中にたまり、血液中の濃度が上がってしまうのです。そのため、クレアチニン値は腎機能を反映する重要な指標とされています。
- 正常値:だいたい1.0未満
- 腎機能が半分以下になると:1.0を超えてくることが多いです
- 腎機能がかなり悪くなると:8〜10程度になり、透析が必要となることもあります
■ eGFR(推定糸球体ろ過量)とは?
クレアチニンと年齢、性別から計算式で求められるのが、eGFR(Estimated Glomerular Filtration Rate)です。
これは、腎臓のろ過機能を%のように示すもので、
- 正常:100前後
- 50:腎機能が半分
- 30:腎機能が3割に低下
と、非常にわかりやすく腎臓の状態を知ることができます。
このeGFRは、慢性腎臓病(CKD)のステージ分類にも使われており、ステージ1〜5まで分けられています。
■ 尿たんぱくも大切な指標
腎機能の評価では、尿にたんぱくが出ているかどうかも重要です。
市販の尿検査スティックでは「+(プラス)」で表現されますが、詳しく検査すれば、何gのたんぱくが出ているかを正確に知ることもできます。
■ 腎機能のリスクはこの表で判断します
腎機能の状態は、以下の2つの情報からリスクを分類できます。
- 縦軸:eGFR(腎臓の働きの目安)
- 横軸:尿たんぱく(腎臓のダメージの目安)
この2つを掛け合わせたグラフにより、腎臓病の状況を把握することができ(緑→黄色→赤の順に将来のリスクが上昇)、治療方針にも役立ちます。
日本腎臓学会 CKD診療ガイドライン2023より
■ 気になる腎臓の数値があれば、ぜひご相談を
健康診断の結果で「クレアチニンが高め」「eGFRが低い」「尿たんぱくが出ている」と言われたことがある方は、腎臓の病気が進行しているサインかもしれません。
腎臓は一度悪くなると、元に戻すのが難しい臓器です。
早期発見・早期対策がとても大切ですので、健康診断や普段の診療で気になることがあれば、ぜひ腎臓専門医にご相談ください。