【要注意】熱中症が腎臓に与える深刻な影響とは?〜猛暑を迎える前に知っておきたいこと〜
こんにちは。
暑くなってきて、いよいよ夏本番が近づいてきたという感じですね。テレビやネットでも「熱中症」という言葉を耳にする機会がぐんと増えてきたのではないでしょうか?
実はこの熱中症、単に「しんどい」「だるい」だけで済むものではなく、腎臓の機能に深刻なダメージを与えることがあるのをご存知でしょうか?
重症化すると「急性腎不全」という状態になり、一時的に透析治療が必要になるケースすらあります。私たち医療現場では、毎年そのような患者さんを何人も診療しています。
今回は、「なぜ熱中症が腎臓を傷つけるのか?」というテーマで、医学的な内容をわかりやすくご紹介します。
◆ 熱中症とは?~体が暑さに耐えられない状態~
熱中症は、暑い環境の中で体温調整がうまくできなくなり、体の水分や塩分バランスが崩れることで起こる健康障害です。
汗をかくことで体温を下げるはずが、脱水状態になると汗もかけなくなり、体温はさらに上昇、という悪循環に陥ります。
この結果、「頭痛」「めまい」「倦怠感」といった症状から、ひどい場合はけいれんや意識障害などの重篤な状態に進展します。
◆ 熱中症が引き起こす「腎機能障害」
熱中症によって体内の水分が失われると、腎臓に送られる血液が減少します。
腎臓は、体全体の血液の約20%が流れ込むとても血流に依存した臓器です。水分不足や高体温状態が続くと、腎臓の血流が保てず、尿をつくる機能が低下してしまいます。
これが「急性腎障害(AKI)」と呼ばれる状態で、
進行すると体内に毒素がたまり、命に関わる状態(尿毒症)に陥ることも。こうした場合には、透析治療が必要になるケースもあります。
◆ 軽い熱中症でも“腎臓に後遺症”が残る?
「軽い熱中症だから大丈夫」と思っていませんか?
実は、軽度の脱水状態でも腎臓へのダメージはじわじわ蓄積します。
血液検査をすると、クレアチニン値(腎機能の指標)が一時的に上昇している方も多く、放っておくと、将来的に慢性腎臓病のリスクとなりかねません。
特に「日頃から水分をあまり摂らない方」「クーラーの効いた室内で過ごしていて汗をかいていないつもりの方」も要注意。
見た目に分からなくても、汗や呼気からの水分蒸発(不感蒸泄)によって、知らず知らずに脱水が進行している可能性があります。
◆熱中症対策は“腎臓の健康対策”
熱中症は、対策次第で予防可能な病気です。
とくに大切なのが、「こまめな水分補給」と「適切な室温管理」。
外で活動する方だけでなく、室内で過ごす方、デスクワーク中心の方も例外ではありません。
また、高齢の方や慢性疾患をお持ちの方は特に注意が必要です。軽い脱水でも腎臓への影響が出やすくなります。
◆まとめ
- 熱中症は、命に関わるだけでなく、腎臓にも深刻な影響を与えます
- 重症化すれば透析が必要になることも
- 軽い熱中症でも、腎機能に“見えない傷”を残す可能性があります
- 日頃の水分摂取習慣や温度管理が腎臓を守る第一歩です
ご自身の健康はもちろん、ご家族のためにも、ぜひこの夏は熱中症対策を意識してみてください。
ご不明な点があれば、お気軽に当院へご相談ください。
皆さまが健やかな夏を過ごせますように。