「運転手さん・建設業の方は要注意!」腎臓病になりやすい職業とは?
こんにちは、たかえ内科クリニックです。
今回は少しユニークな研究結果をご紹介します。実は、腎臓病(CKD)のなりやすさや、腎機能(クレアチニンから算出したeGFR)の悪化速度は「職業」によっても差があることが、大規模な調査から明らかになりました。
◆ どんな仕事が腎臓に負担をかける?
20万人以上の健診データを追跡して調べたところ、事務職の方と比較して、以下のような職業で腎機能の悪化が進みやすい傾向がみられました。
- 運輸業(トラック・タクシードライバーなど)
→ 腎臓病になるリスクが 約32%高い
→ 腎機能の低下スピードも事務職より速い(年間 −1.15 vs −0.87 mL/min/1.73m²) - 建設業
→ リスク 約21%高い
→ 屋外作業や脱水、粉塵などが影響 - 製造業
→ リスク 約18%高い - 農林漁業
→ リスク 約27%高い
→ 高温環境や農薬への曝露が背景 - サービス業(飲食・接客など)
→ リスク 約14%高い
→ 夜勤や生活リズムの乱れが影響
一方で、事務職は最もリスクが低く、比較の基準になりました。
◆ なぜ仕事で腎臓病リスクが違うの?
腎臓に負担をかける要因としては、
- 長時間労働や水分摂取不足(特にドライバーや建設業)
- 高温や脱水(農業、建設業)
- 夜勤・不規則生活(サービス業)
- 粉塵・農薬曝露(建設業、農林漁業)
などがあります。つまり、「腎臓の負担」は生活習慣だけでなく、働く環境そのものからも影響を受けるのです。
◆ 当院からのメッセージ
「仕事で忙しくて、なかなか水分がとれない」「トイレを我慢することが多い」という方は要注意です。こうした習慣が、知らないうちに腎臓の負担になっているかもしれません。
今回の結果から、特に運輸業・建設業・農林漁業・サービス業の方は腎臓病発症リスクが15〜30%高いことが分かりました。年に一度の健診で腎機能(クレアチニン、eGFRや尿たんぱく)をチェックすること、そして気になる症状があれば早めにご相談ください。
腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、症状が出るころにはかなり進行していることも少なくありません。ご自身の働き方にあわせて、腎臓を守る工夫を一緒に考えていきましょう。
参考文献 Takada et al. J Occup Health. 2025 Aug 19:uiaf047. Occupation as a risk factor for progression of chronic kidney disease: retrospective cohort study
那珂川市、福岡市南区、春日市、大野城市の方は近隣ですので、気になる方は092-555-6886までお気軽にご相談ください。
たかえ内科クリニック