高齢の方でも「血圧は130未満」がよい?最新の研究からわかる高血圧治療
こんにちは、たかえ内科クリニックです。
今日は、75歳以上の高齢者の血圧管理について、とても重要な研究をご紹介します。
◆ 高齢者の血圧、下げすぎは危ない?
これまで「高齢の方は血圧をあまり下げすぎると、ふらつきや転倒が増えるのでは?」と心配されてきました。
実際に患者さんからも、
「年をとったら150くらいでもいいんでしょう?」
「薬で下げすぎると体に悪いんですよね?」
とよく質問を受けます。
◆ 世界の大規模研究をまとめた結果
今回のメタアナリシス(複数の臨床試験をまとめた解析)では、75歳以上の方を対象に、血圧を130mmHg未満までしっかり下げた場合と、140〜150mmHg程度にとどめた場合とを比較しました。
その結果、130未満を目指したグループでは…
- 全体の死亡率:およそ15%低下
- 心臓や脳の病気による死亡:20%低下
- 脳卒中:20〜30%減少
- 心不全の発症:25%減少
という、明らかな効果が得られました。
◆ 糖尿病や腎臓病を持つ方でも効果あり
特に気になるのは、糖尿病や慢性腎臓病(CKD)をお持ちの方。
この研究では、糖尿病やCKDがある高齢者でも、やはり「血圧130未満」を目指すことでリスクが下がることが確認されています。
糖尿病や腎臓病がある方は動脈硬化が進みやすいため、血圧をしっかり管理することで、より大きな安心につながります。
◆ 副作用の心配は?
「そんなに下げて大丈夫?」という心配もあると思います。
研究では、ふらつきや転倒、腎臓の大きな悪化は増えていませんでした。腎機能は一時的に低下することもありますが、長期的には悪い影響はなく、むしろ心臓や脳を守る効果が大きいという結果です。
◆ まとめ
- 75歳以上の方でも 血圧130mmHg未満を目指すと、脳卒中や心不全、死亡リスクを減らせる
- 糖尿病や腎臓病を持つ方でも効果は同じ
- 転倒や腎不全のリスクは大きく増えない
つまり、「年をとったから血圧は高めでいい」という事は、今回の研究ではあてはまりませんでした。
ただし、フレイル(体力の衰え)が強い方や立ちくらみがある方は、個別に調整が必要です。
👉 当クリニックでは、高齢の方でも安心して続けられるよう、無理のない血圧管理を一緒に考えていきます。
参考文献 Nozato et al. Hypertens Res. 2025 Aug 12. Online ahead of print. Targeting a systolic blood pressure of <130 mmHg is beneficial in adults with hypertension aged ≥75 years: a systematic review and meta-analysis
那珂川市、福岡市南区、春日市、大野城市の方は近隣ですので、気になる方は092-555-6886までお気軽にご相談ください。
たかえ内科クリニック