🌟リブレ(FreeStyleリブレ)で広がる糖尿病治療の新しい可能性〜自己血糖測定と比べて何が違うの?〜
こんにちは。
今日は、スウェーデンで行われた大規模な研究から、リブレ(間欠スキャン式持続血糖測定:isCGM)の効果についてご紹介します。
📚 なぜこの研究が行われたのか
糖尿病の治療では「HbA1cを下げること」が合併症を防ぐ大切な目標であることが、これまでの大規模研究(UKPDSなど)で証明されています。
しかし従来の方法は、自己血糖測定(BGM)=チクッと指先に針を刺して測る方法。これは1日に数回しか測れず、「夜間の低血糖」や「食後の急な上昇」などを見逃してしまうこともありました。
そこで登場したのが リブレ(isCGM) です。
腕につけたセンサーをかざすだけで、24時間の血糖変化を把握できるため、より細やかな血糖管理、糖尿病治療ができると期待されています。
ただし、「リブレを使うと、入院のリスクをどのくらい減らせるのか?」という点は十分に分かっていませんでした。
🧪 研究の方法
スウェーデンの全国データベースを使い、インスリン治療中の2型糖尿病の患者さんを対象に、
- リブレを導入した人(約6800人)
- 自己血糖測定を続けた人(約78000人)
を比べて、
- HbA1cの変化
- 糖尿病の合併症による入院の有無
を調べました。
調査期間は最大で 2年間 です。
📊 主な結果
HbA1cの変化
- リブレ群:HbA1cが平均 0.3〜0.4%低下
- 自己血糖群:大きな変化なし
➡ HbA1cは リブレ群の方が明らかに良好。特にHbA1cが高めの人では 1%以上改善するケースもありました。
入院リスクの違い
リブレを使った人は、合併症での入院が大幅に減っていました。
✅ 入院が減ったもの
- 重症低血糖 ➡ 約50%減
- 脳卒中 ➡ 約45%減
- 心筋梗塞 ➡ 約30%減
- 心不全 ➡ 約35%減
- 全ての原因による入院 ➡ 約20〜30%減
➖ 差がなかったもの
- 腎臓病による入院
- 網膜症(目の合併症)、神経障害、足潰瘍など
💡 なぜリブレ(FreeStyleリブレ)で差が出るのか?
HbA1cの改善幅はわずか0.3%程度ですが、次のような効果が積み重なったと考えられます。
- 血糖変動(ブレ)を見える化 → 食後の上昇や夜間の低血糖に気づきやすい
- 低血糖の早期発見 → 特にインスリンを複数回打っている方で有効
- 生活習慣の改善がしやすい → 食事・運動・薬の効果を数字で実感できる
🩺 まとめ
- リブレを導入した人は、HbA1cが下がるだけでなく、重症低血糖や脳卒中・心臓病による入院も少なくなることが分かりました。
- 腎臓病や目の合併症には明確な差はありませんでしたが、心血管イベントの減少は非常に大きな意義があります。
リブレ(FreeStyleリブレ)は「血糖を測る道具」から一歩進んで、糖尿病の合併症を減らす可能性がある新しい治療サポートツールです。
当院でも取り扱っておりますので、「自分も使えるのかな?」と思われた方は、ぜひお気軽にご相談ください。
参考文献 Nathanson et al. Diabetologia 2025 Jan;68(1):41-51. Intermittently scanned continuous glucose monitoring compared with blood glucose monitoring is associated with lower HbA1c and a reduced risk of hospitalisation for diabetes-related complications in adults with type 2 diabetes on insulin therapies
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たかえ内科クリニック