ロキソニンやボルタレンなどの痛み止め(NSAIDs)は腎臓に悪い?高血圧や糖尿病の方は特に注意
💊 痛み止め「NSAIDs」とは?
頭痛や腰痛、関節痛、発熱時などによく使われるお薬に「NSAIDs(エヌセイド)」があります。
NSAIDsは「非ステロイド性抗炎症薬」の略で、炎症や痛み、発熱を抑える薬です。
代表的な商品名には以下のようなものがあります。
- ロキソニン(ロキソプロフェン)
- ボルタレン(ジクロフェナク)
- セレコックス(セレコキシブ)
- モービック(メロキシカム)
- ナイキサン(ナプロキセン)
どれも市販薬や処方薬として広く使われており、「よく効く痛み止め」として馴染みのある薬です。
◆ NSAIDsと腎臓の関係
NSAIDsは即効性があり便利なお薬ですが、腎臓に負担をかける作用があることが知られています。
これは、腎臓の血流を保つために必要な「プロスタグランジン」という物質の働きを抑えてしまうためです。
その結果、腎臓の血流が減り、腎機能の低下(慢性腎臓病:CKD)につながることがあります。
特に注意が必要なのは以下のような方です。
- 高齢の方
- 高血圧、糖尿病、心不全などの持病がある方
- すでに腎臓が弱っている方
📊韓国の大規模研究からわかったこと
最近発表された韓国の10年間にわたる大規模研究では、NSAIDsを使用した高齢者は、使用しなかった人に比べて腎臓病の発症リスクが約1.5倍高いことが分かりました。
また、NSAIDsを使った人は腎機能の低下がより早く進む傾向にあり、特に使い始めて1年以内から差が出ていました。
なお、末期腎不全(透析が必要な状態)に至るケースは稀でしたが、CKDの早期発症につながる可能性が高いことが示されています。
◆ 日常生活で気をつけること
- 長期間の連続使用はできるだけ避ける
- 腎臓に不安のある方は、定期的に血液検査で腎機能(eGFR、クレアチニン)をチェック
- 市販薬であっても安易に使い続けず、医師や薬剤師に相談
- 水分不足、脱水時(夏の暑い時期や下痢・嘔吐のとき)は特に注意
◆ まとめ
NSAIDsは身近で効果的な痛み止めですが、腎臓病のリスクを高める可能性がある薬です。
「ロキソニンをよく飲んでいる」「ボルタレンを長く使っている」という方は、ぜひ一度ご自身の腎臓の状態をチェックしてみてください。
当院では、腎臓の検査や飲まれているお薬、生活習慣のアドバイスも行っています。
痛み止めを安全に使いながら、腎臓を守るためのサポートをいたしますので、気になる方はご相談ください。
参考文献 Jung-Sun Lim et al. Drugs Aging. 2025 Aug 6. doi: 10.1007/s40266-025-01239-9. Effects of NSAIDs on Early CKD Development: A 10-Year Population-Based Study Using the Korean Senior Cohort
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たかえ内科クリニック